【私は漁師でした】Success Story05
しわがれ声で話す純朴そのものの社長さんは元々は漁師さんでした。
「漁師は毎日がバクチみたいなものですから。毎日一人で海に出ているのもほんとに寂しいものですよ。」
そんな身の上話から夢の民宿創りが始まりました。
奥さんの話によると、
「成功させて絶対ベンツに乗るんだ!」
そう言って3000万円漁協からお金を借りて今の民宿を始め、社長は言ったとおり頑張りぬいて夢を実現してしまったそうです。
しかし時は流れ社長が創った3000万円の民宿も今はまわりをホテルや旅館にすっかり取り囲まれて海も見えない古びた民宿になってしまっていました。
それでも不思議な事に何時もお客様の笑い声が溢れているのです。
そして笑顔の中心にはいつも女将が、
「あんたらネーもうボケがきとるで乗るとこ間違えるといかんから船まで送ってくわ!」
「なに言ってるのボケがきてるのは女将のほうやで!」
そんな女将とのやり取りをお客も楽しんでいるようです。
「また来るで来るまで元気で生きとってや~!」
そんな事を言いながら常連らしいお客様が楽しそうに帰っていきます。
この宿の表舞台は誰でもっているかがわかった気がします。
この御夫婦の凄い所は、今の状態を予測してもっと大きな夢を持ち高台で海の見える一等地をちゃんと手に入れていたのです。
“眺めは最高!!!”ただし平らな所はほんの少しであとは海に向かって急勾配の崖地です。
デザイナーは海を眺め崖地を登り降りししばらく考えこんでいました。
それからしばらくすると崖地の岩の上に基礎をつくり、屋上には眺めが最高の露天風呂付きの大浴場、全室オーシャンビューと言う夢のプランが出来上がりました。
しかし見積もりが出た後は夜も寝むれない日々が何日も続きました。
平地の倍ほど予算がかかるのです。
それでもデザイナーは諦めず粘り強く建築業者さんと話し合い大切な夢の部分は壊さないで何とか着工にこぎつけました。
盛大な竣工式でもち蒔きをするデザイナーはいろいろあった事を思い出し思わず涙ぐんでいました。
その後は「南知多話題の宿めぐり」などテレビにも取り上げられ板東英二や内山くんを相手にしての女将の相変わらずの話しぶりは大好評。
控えめに部屋の隅で笑っている元漁師の社長さんも本当に嬉そうに映っていました。
繁盛しているようです。
夫婦の持ち味を活かしあい、助け合う大切さと景気の良い時に次のステップへの備えをする大切さを教えられた仕事になりました。
豪華な旅館ではありませんが間違いなく人の温かみに触れる事の出来る宿です。
ぜひ1度お出かけ下さい。
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