【立地を読んだおやじさん】Success Story03

すごい田舎だなー。
澄みきった水が流れる川沿いを車が走る走る。

小さな小学校の前にお決まりのような古ぼけた駄菓子屋があった。
小さなショーケースが一つ。

中からいかにも人の良さそうなおやじさんが出てきた。
和菓子の職人だけど洋菓子も売る店を作るという。
ここは通行人もほとんど居ないしたまに車が駆け抜けて行くだけのこんな所で和洋菓子の店が成り立つだろうか?
しかもケースは10尺を2本入れるという。

それでもなんだかんだといいながらもどう見てもこの場所にはにつかわしくないオシャレな店が出来上がった。

おやじさんがガンバッテ商品でいっぱいにした10尺2本の威力はすごかった。
思いもよらぬ遠くからお客が来るは、来るは。

2.3年すると電話が鳴った。
「土地を買ったで見て。」
少しかっぷくの良くなったおやじさんが自慢げに指差した土地は、広い広い立派なものだ。
しかしそこもまた。家もまばらで歩く人もいない道路沿いの土地だった。
「今度は茶室と大きな鯉の泳ぐ池も作るでネー。」

鼻息も荒く。
吹き抜けの空間に。
10尺4本のケースを持つ菓子屋としてはびっくりするほど大きな店が完成した。
ケースの中はフランスで修行して来た息子が作るお菓子でまばゆいほどだ。
またまた、はやる、はやる。
何十個の注文にもあくる日に応えられる工場もつくり、その後こんな店を3軒もつくった。

どれもこれもおなじ様な立地だ。
広い大きな店。
楽に止められる駐車場。
おやじさんの店がでんと出来上がると。
周りにあっという間に店が増えていく。
職人のおやじさんはみかけによらずしっかり成功する戦略を立てていた。

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